文楽の話

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今日はヒマなので、雑談ブログです。
4日から始まっている文楽を観に行ってきました。まずは2部。
帰宅後、余韻に浸りつつプログラムを読みながら、美味しいおやつを食べる幸せよ・・・(Aさん、ウエストのクッキーありがとう!)

先日、「来週、文楽を観に行くんです!」とお客様にお声かけていただきました。うれしかった!
文楽は2回目ということで、やはり、色々とわからないことがあると。
そうですよね~
私も、すっかり慣れてしまいましたが、最初はわからないことばかりでした。

なので!
少しでも、観劇のお役に立てれば・・・

1部をご覧になるとの事でしたので、当日は20分前くらいに劇場着がおすすめです。(開場は30分前からです。)
到着したら、お手洗いを済ませる、荷物をロッカーへ預ける(1回100円で返却式なので使わなきゃ損)、プログラムを買う(700円「床本集」が目当て)、売店でサンドイッチやお弁当を取り置きしてもらう(自宅からクッキーやおにぎりなどを持ってくることも。紅茶をポットに詰めて持っていくのはいつも)
ゆとりがある時は、15分前に幕開け三番叟(舞台のお清め)があるので、後ろから見たり。
あっという間に開演です。

1部は15分と25分休憩をはさみますので、25分休憩の時にお昼を食べる方が多いですが・・・
けっこう急かされるので、私は、軽くしか食べません。売店の箱寿司が好きなので半分食べて残りは持ち帰ったり。クッキー程度ですませて、終演後にお店で食べることもあります。(急いで食べると、睡魔が・・・)

おすすめの席はセンターブロックの4~6列目。(なければサイドブロック)
舞台上部の字幕も見やすく、人形もしっかり見えます。

それから、文楽をわかるようになる方法?ですが、1番は、同じ公演を2回、3回と続けて見ることです。
「いや~」ってなりますよね・・・
でも、1回見て、自宅でプログラムを読んで、数週間後にもう1回見ると、理解度が深まります。
これを繰り返していると、浄瑠璃が聞き取れるようになってきます。
「いや~」ってなりますよね・・・

文楽は「人形浄瑠璃」と言われますし、ポスターや文楽紹介なども人形が出てきますよね。
しかし!!
文楽は「人形浄瑠璃」ではなく「浄瑠璃人形」なのです。(某太夫さん)
浄瑠璃に合わせて人形が動く。
語り担当の「太夫」が舞台をリードしていきます。
なので!!
浄瑠璃を制するものは、文楽を制す!
私は織大夫さんの襲名公演の語りに衝撃を受けて、文楽に夢中になりました。
ほんとうに、あの時の語りは衝撃的で、身体が金縛りにあったように動かなくなって、ただただ織大夫さんの語りを浴びていたような感じ。
これから文楽を好きになる方にも、そのような出会いがあるといいなと思います。
人形からちょっと目を離して、右側の出語り床に注目してみてください。
全身全霊で語る太夫(登場人物のセリフから情景まで、1人ミュージカル状態)
一撥で情景や感情を表現する三味線弾き。(伴奏ではありません)
太夫さんの発する詞章や三味線の音が、時に台詞のように、時に歌うように、さまざまな感情とともに変幻自在。
浄瑠璃は、暑苦しく、圧が強く、情が深い!

次は、ファンの技芸員さん(今で言う推し)を見つけること。
その人が出る場面や役に興味が沸いたり、なぜ、その人の芸が好きなのかを考えるようになります。

ちなみに、私が一番好きなのは、人形遣いの吉田玉志さんです。
大きい立役の人形が颯爽と華麗に動き、かっこいい。
浄瑠璃にピタッと合わせて、人形が動くのが気持ち良い。浄瑠璃を視覚化するのが上手。
複雑な内面の役は、浄瑠璃を深く研究して人形に反映している。
人形と人形遣いの間にきちんと距離がある(物理的にも精神的にも。これ、とっても大事)
今回、松王丸を遣いますので、1部2部と見ていただくと、玉志さんの魅力がわかります。

そして、あらすじを事前に頭に入れておくこと。
私が文楽を見始めた時に、一番困ったのが「物語がいきなり始まって、いきなり終わる」
舞台って、起承転結というか、プロローグからエピローグまでやるのが当たり前だと思っていたのですが、
文楽(歌舞伎も)「見取り」と言って、物語の一番盛り上がる場面だけをピックアップして上演することが多いのです。
だから、そこに至るまでの物語や登場人物がわからない。
完全にあらすじ迷子・・・

なので、見に行く公演の演目のあらすじを簡単に頭に入れておくと、「?????」になりません。
今回は「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」文楽3大名作の1つ、ネットを検索したら、色々と出てきます。
文化デジタルライブラリー

慣れるまでは、イヤホンガイドを借りるのもおすすめですが、浄瑠璃に集中できなくなるのが難点かな。

そんな感じです!
どうぞ、楽しい観劇になりますように。

以下は、私がザックリ解説
菅原伝授手習鑑は、現在でも「通し」と言って、作品の最初から最後までが上演可能な作品。
今回は1部と2部で作品の半分ほどを上演する貴重な機会です。(いつもは2部でやる「寺入り」「寺子屋」だけ)
タイトルにある通り「菅原道真(作品中は菅丞相/かんしょうじょう)」を主軸に、様々な実在の人物、失脚し大宰府へ流罪となる史実、天神様になる伝説などに、市井の人々(作品発表当時に大阪で三つ子が生まれたのが話題となっていた)などが絡んで、運命に翻弄されていく3組の親子の別れが繰り広げられます。
ままならぬ世の中。人間はちっぽけで弱い。

1部は、梅王丸、松王丸、桜丸(三つ子)、白太夫(三つ子の父親)、春、千代、八重(三つ子の嫁)、藤原時平(菅丞相を失脚させる悪役、松王丸が仕えている)、斎世/とのよ親王(天皇の弟君、桜丸が仕えている)、苅屋/かりや姫(菅丞相の養女)あたりの相関図がわかっているとOKです!
「桜丸切腹の段」とある通り、桜丸は、なぜ?切腹しなければいけないのか「桜丸と八重が、斎世親王と苅屋姫の恋の仲介をしたことが、菅丞相の失脚の原因となったから」そのくだりは今回の上演はありません。

2部は、松王丸、千代、小太郎(松王丸と千代の子供)、源蔵(菅丞相に仕えていたが勘当された)、戸浪(菅丞相の妻/御台所に仕えていたが勘当された)、菅秀才(菅丞相の子供)、御台所(菅丞相の妻)が登場します。
「寺子屋」は文楽の中でも屈指の名場面と呼ばれているくらい、素晴らしい(というか文楽らしいというか・・・)です。
浄瑠璃も聞かせどころがたくさんありますし、人形にも見せ場があります。
いつもなら、ここだけの上演ですが、今回はそこに至る場面もやりますので、松王丸の辛い立場が痛いほど伝わってきて、いつも以上に泣ける。

ちなみに、源蔵と戸浪は不義の行い(禁断のオフィスラブ)をしたことにより勘当されて、京都の山奥で寺子屋を開いています。
菅丞相が失脚した際に、命の危険が迫る菅秀才を屋敷から連れ出し、自分たちの息子としてかくまっています。

「筆法伝授」「築地」が上演されると、源蔵と菅丞相の関係性や、どんなことをしても菅丞相の息子を助けたいと思う気持ちがわかるのですが、今回の上演はありません。(寺子屋だけ見ると、源蔵が異常者に見えがち)